ponsharaの読書日記

寄生獣』 岩明均作  再読  ★★★★★  ネタバレ注意!

人間がこの地球の寄生獣だという、広川市長の演説に納得した。しかし、彼が「人間」であり、パラサイトつまり寄生する生物を支援していることに驚愕した。

また、ヒトを喰う殺人鬼が、市役所での戦いから脱走して最終章に出てくるところには、しびれた。

この、物語はあまりにも突飛な設定だが、登場人物がごく普通の人々であり、非常にリアルに展開する。寄生生物も人間も互いに、感化し合い共鳴し合うところが描かれていくところに、涙し感動した。

右手に寄生された新一(主人公)は、ミギーと名付けたパラサイトとともに、自分の命を守るために他のパラサイト達と戦わざるを得なくなる。

彼を狙って来るパラサイトによって、多くの人間が殺されてしまう場面は、痛々しく恐ろしい。人間の体が砕け散り、血がドバーっと飛び散り、残虐過ぎる。

しかし、彼らの中には、ただヒトを喰らう目的だけが存在理由なのかと疑問を持ち、「自分たちはどこから来たのか、何故生まれてきたのか。」と考えるものが出てくる。

とくに、ヒトの脳に寄生して、体を乗っ取りその人物・高校の数学教師になりすまして人間社会で生きようと模索する田宮良子は、寄生生物であるAとこどもまで為し、「実験に使うために飼育している」と言って子育てをしていた・・・。

 しかし、招待を知られた探偵に、赤ん坊を誘拐されてしまい、その子の命を守るために絶命する。彼女が白いワンピースを着て死んでいく姿は素晴らしかった。聖母を表していたのだろう。

 また、最強のパラサイトとなった後藤と新一が戦う場面も、素晴らしかった。

 後藤が、ゴミの中の錆びた鉄の棒に付いていた毒によりダメージを受けるところは、示唆に富んでいる。恐らく、地上最強の毒「ダイオキシン」だったのだろう。

 

 人類は、自分たちで作り出した毒を地球上の至るところに撒き散らしている。そして、自業自得でその毒に被爆して死んでいくのだろう。

 このままではいけない。私達は再生可能なエネルギーを遣い、環境を破壊するもの、汚すものはもう生み出してはならない。ように努力していきたい。買うもの食べるもの使うものを、私達は選ぶことができる。生き方は自分で決める事ができる。