夫による母子へのD∨。そこから逃れるための心中の偽装工作。SNS上には、同じ境遇を生きぬいた協力者も現れる。
初めはミステリーかと思ったが、こどもを助けるための計画だった事が判明。
ある日、茨城県?の郊外の兄弟二人で暮らす一軒家に男の子が現れる。
この子は、「ライオン」と名乗り、本名も両親のことも一切話さない。とにかくここに住まわせてほしいと。ライオンのぬいぐるみを抱えて、背中には着替えの入ったリュック。
この兄弟は20代後半。弟みちとには自閉症の障がいがある。両親亡きあと。賢明に弟の世話をする兄ひろと。そこへ、屈託のまったくない「ライオン」少年がやってきたのだ。素直で、賢くてとてもかわいい。
忖度なく弟のみっくんに喧嘩をしかけるライオン。しかし、この葛藤が腫れ物扱いしてきた兄に、新しい視点をもたらしていく。
そして、みっくんも、思い通りにならぬときの、パニック発作が抑えられるようになっていく。ひたりがだんだん変わっていく。ただこれは、やや簡単過ぎるだろう。現実に自閉症の家族がいると、何倍もの困難があると思う。
まったく、みっくんに障がいがあることを知らぬ5歳児のライオン。だが、彼は、みっくんをよく知るようになり、大きい音を聴いて、パニックになり、自傷行為を始める彼に水中メガネを手渡して、落ち着かせるのだった。
みっくんは、動物が大好きで、百科事典を暗記している。そして、物の色を色辞典の番号どおりに言い当てることができる。彼は、独特の絵を描くことができるので、障がい者アートの会社で働いている。
兄ひろとは、朝弟を会社からの迎えの車に乗せて見送り、勤務している市役所を5時きっかりに出て弟を迎えに行く。5時半が近づくと、みっくんは時計を見て秒読みを開始。兄が大好きなのだ。兄が来てくれる5時半を毎日待っているのだ。
DVから逃れるために家を出て、ひとりで働きながら隠れていた、彼女、橘愛生(あおい)は、この兄弟の異母姉。高校生の頃に、離れて暮らしていた父親に引き取られて、しばらく一緒に暮らしたが、ある日家出してしまった人。
この設定には、やや無理がある。彼らの母親とは、連絡を取り合っていたようだが、高校生あるいは中学生が、ひとりで生き抜けるほど世の中は甘くない。故にマイナス1
ひろとの職場市役所の同僚2人が、彼を助ける場面は、微笑ましくて良かった。同期だという岡崎体育の巨体が面白かった。彼は3人の子持ちで、叔父さんが所有している佐渡島のペンションをひろと達に貸してくれた。すごい!
ライオンの母親、愛生が夫からひどいDVを受けて、逃げ惑う時助けてくれた業者として、ゆるぎさんが白ずくめの姿で登場する。これは、敵に見つかりやすいので、いかんと思った。故にマイナス1
DV夫・橘 祥吾役の向井 理には、悪者役は難しかったと思うが、不気味さを醸し出していた。彼自身も両親から捨てられて育った役。「お前と離婚してやるが、こどもを渡さない」という。こういう人は、実際にたくさんいるかもしれない。
最後11話では、皆がハッピーになったところで終わるが、蛇足だと思った。ただ、DV夫が身投げして死ぬかも知れぬと思っていたら、警察に逮捕されたので良かった。
引っかかるのは、建設会社がリニア汚職で、次々と邪魔者が姿を消している背景があったので、殺人もさせられているのでは、と予想していたのだが、その説明は皆無。
兄弟の愛情、近所の元食堂の親父(でんでん)の優しさが、染みるドラマだった。新聞記者から、三流週刊誌の記者になった、工藤楓役の桜井ユキさん、乱暴で強引でがざつだったが、こういう人の役もできるのだ。感心した。