読書日記 『深い河』   

『深い河』  遠藤周作著  1993  ★★★★☆

ウイキペディアより『深い河』(ディープリバー)は、1993年に発表された遠藤周作の小説。また、これを原作とした1995年の日本映画。タイトルの『深い河』または“Deep River”とは、一般には黒人霊歌の「深き河」に歌われるヨルダン川のことである。

概要[編集]

遠藤が70歳の時に発表された。遠藤の生涯のテーマ「キリスト教と日本人」の最終章となった作品である。1994年に毎日芸術賞を受賞した。

 

出版されて30年経つのに、私は図書館で10人ほど待ってから借りて読んだ。

遠藤は母親にカトリックの洗礼を受けさせられたが、果たして信者だっただろうか。彼の混迷、真摯な悩み苦しむ姿がふたりの登場人物によって描かれている。ひとりは、カトリック司祭になろうとして、フランスへ留学する青年。そして、神を信じない意地悪で美しき女性。彼女は、遠藤そのひとだろう。

 キリストを遠藤は。弱々しく汚らしいひとになぞらえる。彼はともに傷つき苦しむものの、傍らに来るという。ああ、そうかもしれない。

 

 様々な理由で、心に深い傷を持つ人々がインドのガンジス川『深い河』を見に行く。死者と生者と聖者、動物の死骸までも流れていく、ごった返している河。

 死者は決してカメラに収めてはならない。だが、・・・

 遠藤は、ここに実際に立って取材したという。丈夫ではなかった彼が、どうしても自分の目で見て確かめて、これを描きたかったのだろう。

 戦地で、人肉を喰らい帰郷したが、死ぬまで苦しんだ男のことが描かれるが、この人を看病したのは「ガストン」という男。『おバカさん』のことだろう。

 とても短くて、わかりやすい物語。ヒンズー教が今では仏教を駆逐。しかし、世界からは仏教遺跡を見に来るひとが絶えない。未だに、不可触賤民とされる人々がいる。彼らが死を待つ間を大切にするマザーテレサたちの活動も描かれるが、・・・。インドの現実が活写されている。

 日本人にとって、キリスト教とは? いや、人を救うとはどういうことなのか。神とは? 遠藤なりの、結論がここに書かれている。

 また、遠藤周作の本を読みたくなった。映画版も見よう。半世紀前に読んだ本を、再び。

 しかし、今借りているものを読み終えてからだ。順番を決めなければならない。

 

今、世界に必要なのは宗教対立ではなく、緩和と恕(ゆる)し。ミャンマーの国軍よ、どうか国民を攻撃するのを止めなさい。ロヒンギャの人々を追い出すのを止めなさい。ロシア軍の神よ、ウクライナの侵攻をもう止めさせて下さい!!!すべての神々よ、あなた以外の神たちをどうか認めて、恕してほしい。クルド人トルコ人もシリア人も被災者は皆、助けられるべきだ。難民船に乗って生死を賭けてでも、地中海を渡ってくる人々・・・。自分の故郷を捨てなければならぬような、そんな状態をどうかもう終わらせよう!