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ポンの読書日記
「列」 中村文則著 ★ひとつ
これは、面白くない。
社会風刺であることはよくわかるが、……。
日本猿の生態については、驚くべき研究成果を知れたが
発情期に、オスもメスも複数の個体と交尾するとある。これには驚いた。母親は分かっていても、父親がわからぬこどもばかりで群れをなすとすると血縁の近いもの同士で交尾を重ねることにならないだろうか。それでは、遺伝性の病気を持つものやや奇形の子孫が生まれてしまうだろう。
また、とくにこたえたのは、善行を積んでこれを見ていてくれる大いなる存在が必ず自分を救い出す、褒美をくれるだろうという女子の言葉。
これは、いつも苦難の中にいる周りの人に対して、励ましの言葉をかけているわが信条そのもの。
だが、これを批判され嘲笑されていると感じた。作者の見解は冷徹で正しい。
だが、虚しい。
列に並んで順番を誰もがじっと待っている。押し除けてでも横入りしてでも前に出ようとするものもいるが、一方であなたが先に行きなさいと、場所を譲るもの、並ばないものもいるだろう。
リタイアして、脱落者を助けるものも。
動物は同種間では殺し合わないというが、類人猿の最近の研究結果だと殺し合うものも確認できたとある。
何故人が人を殺すようになったのか、究極の殺し合いである戦争が有史以来連続して起きるのか。これは、誰もが考えるべき問題だ。
そして平和に暮らせる方法を、即刻編み出さなければならない。