ぽんの読書日記

『とめどなく囁く』 桐野夏生著 幻冬舎 2019年刊  ★☆☆☆☆

 ひねりがもう少し欲しかった。突然夫が失踪。沖合の釣船から姿を消した。海で死んだのか、自殺なのか、あるいは死んだフリをして失踪したのか。

 七年間一人で待っていた妻(42)は、夫にそっくりな人を見たと姑から聞き、もしかしたら夫がいきているのではないか、と当時の彼の釣り仲間に尋ね始める。………。

 結果は、やや簡単過ぎてがっかり。30歳も年上の会社会長と再婚し、相模湾を見下ろせる母衣山の邸宅で贅沢な暮らしができるのに、主人公はそれを楽しめない。

 再婚した夫の末娘と息子の嫁が、彼女と同年齢だというのだが、これもあまり面白くない展開。故に★一つ。桐野にしては、駄作。

 

 『氷菓』 米澤穂信 角川スニーカー文庫 2001年刊

 ★☆☆☆☆

  高校の部活動「古典部」が、神山高校文化祭の歴史、その中で退学させられたおじさんのことを調べて謎を解き明かす。

 だが、あまり面白くない。氷菓とは、アイスクリームだというが、むしろアイスキャンディーではないかな。

 『ボトルネック』 米澤穂信 新潮社 2006年刊

 ★★★☆☆

  男子高校生が主人公。淡い初恋の相手が東尋坊で、強風に煽られて墜落死する。それから2年後に現場を訪ねて花を手向けようとすると、自分もふわりと浮かび、………。

 自分の生まれていない現実世界に戻る。すなわち、母の胎内で亡くなった生まれなかった姉が自宅にいて、自分はそこにいないのだ。そこは、2年前の世界。死んでしまった彼女は元気に生きている。姉と仲が良く非常に明るいキャラとして。

 悪意の女子高生は、魅力的だったので★三つ。

 ラストは、 

ハッピーエンドにして欲しかった。