ponの読書日記

レイチェル・カーソン いまに生きる言葉』  上遠 恵子著  翔泳社 2014

★★★☆☆

レイチェル・カーソンの伝記をわかりやすくまとめてあるが、もう少し熱量がほしい。彼女が、56歳の若さで亡くなったことは、とても残念だった。家族のため、姪、甥のために一家の働き手としてお金を稼がねばならないなかで、あれだけの研究と観察、仕事を残したとは、とても感銘を受けた。

もし、もっと研究者に国やパトロンが付いて、思う存分没頭することができる環境を作れたら、と思う。

彼女の、予告通り地球は待ったなしの危機的状況になっている。化学物質汚染、放射能汚染、気候変動、・・・。小さな見えざるものたちの命を、大切に循環させなければ滅ぶのみだ。

 

『裸足で逃げる』  上間 陽子著  

★★★★☆

10代でキャパクラに勤めて、父親のいないこどもを育てる少女たち。琉球大学教育学部教授上間陽子氏が、自ら彼女たちの実態を調査した記録。彼女たちの生の声を書き、本人の了解を得た上で公開した。本人と特定できないように、仮名でお店など具体的な情報は伏せてある。

中学生で性交、出産する少女の事情とは。・・・。あまりに悲惨な家庭環境、貧困。親、兄弟、恋人などからの暴力にさらされて身も心も傷つけられた少女たちの実体験は、衝撃の連続だった。

しかし、上間氏と出会い心を開いていくと、皆絶望から立ち上がり生きていこうとしはじめる。無論、そういうケースだけを取り上げたのかもしれないが、・・・。

一番心に残ったエピソードは、キャパクラの同僚が自分を励まし、助けてくれたという話。水商売でお金を貯めたら、昼間の仕事をしよう!と。

 

それにしても、男の身勝手と暴力に、私は本当に腹が立つ。こどもは女だけではできないものだ。赤子を産み捨てたり、虐待したりする事件が後を絶たないが、「俺の子じゃない」と言って逃げたり、一切子育てに協力しないどころか暴力を振るう男たちがいる。絶対に許してはならない。どうか、DV被害者を救うのと同時に、加害者を逮捕してきちんと処罰し必要なら治療・教育をするところまでをしなければだめだ。

母子を保護して助けることが、第一だが。悔しい。