46年前の男たちの旅路

第二部 第一話シルバーシート、第二話墓場の島を、夫と共に鑑賞。衛星放送の何回目かの再放送を録画してあった。

 

やはり、何度見ても面白い。泣ける。

戦後32年というセリフがある。皆が戦争を忘れて暮らしているが、主人公吉岡は今も特攻隊員だった亡き戦友のことを忘れないで生きている。

警備員として、真面目に働いている吉岡は、シルバーシートでは老人の荒川線の電車乗っ取り事件を解決しようと説得を試みる。老人は、自分たちの行動が公になり、警察に逮捕されることを望んでいた。年寄りの悲哀。何もできなくなった自分。社会のお荷物として余生を生きねばならぬ自分たち。老人ホームの四人に殿山泰司加藤嘉笠智衆藤原鎌足。日本演劇界最高峰の面々が演じた。

これが面白くない訳がない。

第二話 墓場の島では、今は亡き根津甚八が、パンチパーマの人気歌手となり、強引なマネージャーに心を傷つけられて、引退を決意する話。彼の警護を頼まれた洋平(水谷豊)が、彼に心酔し涙する。私も、偶像になり作られたキャラで嘘の歌を歌わせられる歌手の心の叫びにもっともだと思い、涙した。

しかし、結局彼が引退宣言をしなかったことが、このドラマを深くした。そう思う。65歳にして、見直すとこの方がリアルであり洋平の純粋な心に胸を熱くさせられる。だから、年代の違う戦争体験者と戦後生まれのチャラチャラした若者が心を通じ合わせられるということが、このドラマの肝なのだと思う。

このドラマは実は吉岡司令補(鶴田浩二)ではなくて、狂言回しの洋平が、主人公なのではない

かと思った。「男たちの」とあるから、群像劇なのだが。