久しぶりの「男たちの旅路」

以前に録画してあった、山田太一脚本のNHK土曜ドラマ男たちの旅路」を、夫婦で観た。1976年から10年間断続的に放映されており、再放送も何度もされている。

戦後30年というセリフがある。私が18歳だった頃に始まったシリーズ。よく覚えている場面と、忘れてしまったばめんがある。しkし、今回観た「冬の樹」は、地味ながらも胸に刺さるセリフが多かった。

 17歳の中流家庭の一人娘が、悪い男に引っかかりそうな話だった。警備会社の吉岡司令補は、職務を離れて困っている人を助けようとする熱血漢だ。彼は特攻隊の生き残りだという。生き残った自分が、死んでいった仲間のためにも安穏と幸せな人生を歩んではならないと決めている。痺れるほどカッコいい主人公に、鶴田浩二

 彼に反発しながらも惹かれていく部下の若者に、水谷豊と桃井かおり。第二部からはいかつい柴俊夫森田健作と交替した。

 水谷演じる洋平がいい!彼は「地」でやっていると思っていた暗い自然な演技をする。

年老いて、相棒の嫌味な刑事役よりずっと板に付いている。

 女子高校生が、親の愛情を欲しがり不良行為をしようとする。

吉岡は「抱きしめてやれ」と、両親を諭す。

 彼は確信を持っている。そんなふうに全くの他人に、ましてやドラマ前半でクレームをつけてきた男に、説教を垂れる人はいない。ああ、ドラマだ。

 山田太一の言葉だ。視聴者は泣きながら彼の話にうなづいた。